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アユに寄生虫がいることを知っていましたか?

ほとんどのアユに横川吸虫の幼虫(0.14~0.15mm)が寄生しているそうです。小さいので肉眼で見ても判らないそうです。

セゴシなどの生食をしたり、生焼けを食べたりすると、アユに寄生していた被嚢幼虫(メタセルカリア)が小腸に寄生し、成虫(1~1.5mm)になります。被嚢幼虫(メタセルカリア)は、体内で1週間で成虫(雌雄同体)になり、小腸粘膜に寄生し 10日で卵を生むようになるといわれています。

横川吸虫生活史
横川吸虫 生活史(横川宗雄:横川吸虫症.公衆衛生1984; 48: 828―831.)


横川吸虫は全国で確認されていて、アユの他に白魚、ウグイ、オイカワ、フナ、コイなどに寄生しています。寄生部位はウロコの周辺が多いといわれています。
セルカリア、メタセルカリアが大量に寄生すると衰弱して、異常遊泳したり、衰弱死して岸にうちあげられたりする。

アユは皮が薄いため横川吸虫の幼虫メタセルカリアはウロコや皮だけでなく筋肉まで入り込んでいるそうです。目に入ると眼球が赤く充血する。


京都府立海洋センターによる調査では、第一中間宿主としてカワニナの他に外来二枚貝のカワヒバリガイが、終宿主としては動物だけでなくビワコオオナマズが確認されている。

第二中間宿主は魚のほかにサワガニがいる。

人へ寄生したときの症状
寄生した数が少ない場合には無症状の場合もあるそうですが、
度重なる感染で寄生数が多くなると下痢や腹痛、食欲不振、体重減少等の消化器症状を呈し、横川吸虫症といわれます。

軽症の場合には、薬剤での駆虫を行わなくても1年ほどで陰性になるといわれていますが、駆虫剤(praziquantel)の服用で退治できます。

生食以外の感染
川魚をつかんだ手に幼虫がついて、感染する。
川魚調理に使ったまな板を良く洗わずに野菜などを切ったりするとそれに付着して感染する。

予防
アユや白魚の生食や、生焼けを食べない。
魚をつかんだ手やまな板は良く洗い、まな板は熱湯で消毒する。
病院で寄生虫検査を受けて、陽性ならば駆虫剤を服用する。

アユ養殖場で発生しているその他の寄生虫:
 ギロダクチルス(吸虫類);鉤のある吸着盤で鰓、体表、鰭に寄生し、粘膜や上皮細胞を食害する。
 トリコディナ(繊毛虫類);体表のザラつき、白雲症状が見られる。
 グルゲア(微胞子虫);腹に白い卵のようなシスト(包嚢)ができる。

他にも魚の寄生虫が沢山います。東京都衛生局の食品の寄生虫がまとまっていて分かりやすい。

下は代表的な寄生虫の表ですが、踊り食いは危険なので止めた方が良いです。
ドジョウ、ホタルイカは特に危険で、皮膚の下を幼虫が動き回りミミズバレのようになるそうです。

寄生虫名 分類 特徴 宿主 原因食品 症状
回虫 線虫類 ♂15~30cm
♀20~35cm
終宿主(ヒト) 野菜 腹痛、下痢、腸閉塞
ズビニ鉤虫 線虫類 ♂0.8~1.1cm
♀1~1.3cm
終宿主(ヒト) 野菜 喘息様呼吸困難、貧血、消化器障害
アニサキス 線虫類 ♂3~15cm
♀4~20cm
第1中間宿主(オキアミ)
第2中間宿主(魚類、イカ)
終宿主(イルカなどの海洋哺乳動物)
イカ、スケソウダラ、サバ、ニシン、カツオ、ホッケなどの魚介類(生食 線虫幼虫症(胃・小腸上部粘膜への食い込み)、上腹部痛、嘔吐
有棘顎口虫
線虫類 ♂1.1~2.5cm
♀2.5~4.5cm
第1中間宿主(ケンミジンコ)第2中間宿主(ライギョ、ドジョウ、ナマズ、バス)
終宿主(イヌ、ネコ、トラ)
ドジョウの踊り食い、ライギョ、バス(生食、加熱不十分 線虫幼虫症(移動性の皮下腫瘤)みみずばれができる
旋尾線虫 線虫類 1㎝×0.1mm 中間宿主(ホタルイカ、ハタハタ、タラ、スルメイカの内臓)
成虫は?
ホタルイカの踊り食い生食 みみずばれができる「皮膚爬行(はこう)症」 、嘔吐、腹痛
肝吸虫 吸虫類 ♂♀同体
体長8~15mm
体幅1.5~5mm
第1中間宿主(マメタニシ)
第2中間宿主(コイ科魚類)
終宿主(ヒト、イヌ、ネコなど)
コイ科魚類(生食 胆管に寄生。多数により胆管閉塞、胆管の炎症が起こる。
ウエステルマン
肺吸虫
吸虫類 ♂♀同体
体長7~16mm
体幅4~8mm
第1中間宿主(カワニナ)
第2中間宿主(モクズガニ、サワガニ、ザリガニ)
終宿主(ヒト、トラ、イヌ、ネコ)
カニ(生食加熱不十分 肺組織の破壊、出血・炎症
横川吸虫 吸虫類 ♂♀同体
体長1~1.5mm
体幅0.4~0.7mm
第1中間宿主(カワニナ)
第2中間宿主(アユ、ウグイ、シラウオ)

終宿主(ヒト、イヌ、ネコなど)
アユのセゴシ、塩焼き(生食、加熱不十分
シラウオの踊り食い(生食
急性腸炎、慢性腸炎腹痛、下痢、
異形吸虫 吸虫類 ♂♀同体
体長1~1.5mm

第1中間宿主(タテマキガイ)
第二中間宿主(ボラ

終宿主(ヒト、イヌ、ネコなど)

ボラ、メナダ、ハゼ生食 心臓異形吸虫症(産み出された虫卵がリンパ流、血流にのり臓器に入って栓塞を起こす場合もある。)
粘膜のカタル性炎症、腹痛、下痢、
広節裂頭条虫 条虫類 体長2~10m
幅15~20mm
第1中間宿主(ケンミジンコ)
第2中間宿主(サケ、マス)
終宿主(ヒト、イヌ、ネコ、ブタ、クマなど)
サケ、マス(生食 消化・栄養障害、貧血
マンソン裂頭条虫 条虫類 体長0.6~1m
幅5~12mm
第1中間宿主(ケンミジンコ)
第2中間宿主(トリ、カエル、ヘビ)
終宿主(イヌ、ネコ、キツネ)
マムシ・シマヘビの生血と刺身ニワトリ・カエル生肉の不完全調理 条虫幼虫症(移動性腫瘤が皮下組織、腹腔にできる)
無鉤条虫
条虫類 体長4~12m
幅12~14mm
中間宿主(ウシ)
終宿主(ヒト)
ウシ(加熱不十分 腹痛、下痢、肛門部不快感
有鉤条虫
条虫類 体長2~3m
幅10~12mm
中間宿主(ブタ、イノシシ)
終宿主(ヒト)
ブタ(加熱不十分 消化・栄養障害、虫卵を直接摂取の場合、人体有鉤嚢虫症

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